クラシックギターの蘇生

昔のクラシックギターの修理をご紹介します。

「昔のクラシック」?と思うかもしれませんが、そう言うしかないのです。

長い年月がんばってきたギター。実物はこの画像よりかなり悲惨です。中のラベルに製作者の名前が漢字で!

このギターは日本のクラシックギター作家の草分けの一人である中出阪蔵氏の弟で「中出留吉」の作品です。しかしながら、相当酷使されており悲壮感ただよう状態になっていました。

ガーン!首の皮一枚でかろうじてつながっている状態。

ネックは折れていて、トップの割れはなんと8箇所にのぼります。

塗装の劣化や長年の汚れや無数のキズなど問題山積みです。

すり減ったフレット。フレットは新しく交換します。
トップはスプルースで、マホガニーのゴルぺ板が付いています。
ネック裏。どれほど弾き込まれたのでしょう?愛用歴を物語っています。

まず、瀕死のネックを接着します。

次に割れている8箇所一つ一つに裏木をあてて接着します。

割れたトップを接着してクランプをかけます。

劣化したラッカーは除去します。

隙間や穴を埋めます。

平らに整えつつ古い塗装をとりのぞきます。

サウンドホールの淵も数箇所割れたり歪んだりしていました。接着や補強をし、歪みを直しました。

木肌の状態にしたところで今回はこのギターの雰囲気にピッタリのオイルニス塗装を施します。

少しずつ丁寧に何度もすり込んでいきます。

場所によっては補色したり磨いていきます。この後、フレット交換をして指板に栄養をあたえて仕上げます。

折れたネックはピッタリくっついて一命をとりとめました。

こうして完成しました。弾いてみるととても素晴らしい音です。

穏やかな優しい表情に思えてきます。
完成!

また持ち主の方と楽しい時を共に過ごしていくことでしょう。

どんな状態でも諦めずにDOVERにご相談ください。