弦高のお話 その1

いきなり、ですけど弦の高さって気になる部分ですよね、自分自身もこの仕事を始める前、まだティーンエイジャーの頃に自分のギターを昼夜問わずドライバー、六角レンチ等でいじくり倒し、挙句の果てもう何だか、弾き安いのか弾き難いのか分からなく為る、そんな日々を過ごしていました。みなさんも、少なからずそんな経験したのでは?

あるとき自分の弦高に対する考え方が変わったことがありました。1994年のことです。フランスのジャンゴフェスに行った際、会場の周りにジプシーギターの出店が出ていて試奏させてもらったときのことです。あまりの弦高の高さに衝撃を受けたのです。「これは、いくらなんでも高すぎる!」(1弦12F上で3.5mmはありました。)まったく弾きこなせないので店の人に「弦高がたかすぎるのでは?」と訴えると、「ジプシーはパワーだよ!」と軽く返されてしまいました。実際周りのジプシーたちは、なんの苦も無く弦高などおかまいなしに早いパッセージを弾きこなしていました。それも楽しそうに!自分の中の弦高に対する常識が覆された瞬間でした。

それから2年後今度は日本でローゼンバーグトリオのオリジナルセルマーを弾かせてもらう機会が有りました。すると、彼のギターは弦高ペタペタでテンションも凄くやわらかくて、内心やっぱり早いフレーズを弾くためにはたとえ彼でも弦高低くしてるんだなと思いつつ、自分の弦高の高いギターを手渡すと彼は目にも留まらぬ速さで軽々と弾きこなすでは有りませんか!全然関係なかったのです!またしても衝撃でした。さらに言うと弦高が高い方がむしろ素晴らしいトーンが出ていました。(ローゼンバーグはギターによってコントロールできるテクニックを持っているからこそですが)

一般に早いフレーズを弾こうとして弦高を下げがちですが、それによって失われてしまう音があるので、自分の出したい音と弾きやすさと自身の技術とのバランスをよく考えることが大切なんだなと気づかされたのでした。